植毛は薄毛の方にとって最後の砦と呼べるものです。
育毛剤を使ってもだめ、発毛剤を使ってもダメ、メソセラピーやHARG療法を利用してもダメという方もいます。
植毛は髪の毛を薄い部分に植えるので、高確率で薄い部分をカバーできるわけ。そこで気になってくるのが、植毛した毛はどれくらいの寿命を持っているのか、ということです。植毛したとしても1年から2年で抜け落ちてしまっては、短期間でまた再手術を受けなければなりません。費用もかかってしまうわけです。
こちらでは自毛植毛と人工毛植毛の寿命を明らかにします。自毛植毛と人工毛植毛の寿命は全く異なるものなので、どちらの植毛法を利用しようか悩んでいる方も必見です。
さらに植毛した毛を少しでも長持ちさせる方法についてもお伝えします。
自毛植毛に関しては基本的に寿命を心配することはありません。
自毛植毛は字のごとく自分の毛を薄い部分に植え付けるわけです。毛ですが、ずっと生え続けますよね。例えば脇毛にしても、死ぬまで生え続けるわけです。植毛した毛にも同じようなことがいえます。
「なぜ前頭部や頭頂部の髪の毛は抜けてしまうのに、植毛した毛は半永久的に生えてくるの?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。その疑問は男性型脱毛症のメカニズムを知れば解消されるはずです。
男性型脱毛症は髪の毛のすべてを脱毛させるわけではありません。主に前頭部から頭頂部にかけての髪の毛だけを薄くする作用があるのです。
もう少し厳密にお話すると、男性型脱毛症の原因物質にジヒドロテストステロンと呼ばれるものがあります、そのジヒドロテストステロン(悪玉男性ホルモン)は、生え際からつむじにかけてあった毛根にだけ作用するのです。
耳の周辺やつむじの後方にある髪の毛については脱毛させるような作用をもたらしません。ですからジヒドロテストステロン(悪玉男性ホルモン)が作用しない髪の毛を植毛することになるので、半永久的に生え続けるわけです。
耳の周辺やつむじの後方にある毛を移植すると、植毛したけ自体は1ヶ月程度で抜けてしまいます。「もう生えてこないのでは?」と心配になりますよね。
しかし植毛した毛がすぐに抜けてしまったとしてもなんの心配もありません。髪の毛に発毛・成長・脱毛のサイクルがあります。植毛した毛は一時的にショックが与えられるので、1ヶ月程度で抜けてしまいますが、その後に再び発毛してくれるわけです。
植毛した毛はすぐに抜けますが、肝心の毛根(毛母細胞や毛乳頭細胞)は生きています。毛根が生きていれば、抜けたあとにすぐに髪の毛を生やしてくれます。植毛した毛が抜けてしまったとしても心配する必要はまったくないのです。
植毛した毛がすべて生存し続けるわけではありません。各クリニックで定着率といったものが示されていると思います。植毛した毛が移植部で生き続ける率を表しているのですが100%ではありません。
定着率が高いクリニック(ドクター)であったとしても、90%から95%程度になっているのです。
仮に2,500株植毛したとしても200株前後は生えてこない、ということになります。5%から10%程度の毛が抜けてしまったとしても、特に大きな問題はありません。クリニック側は定着率のことも考えて一定の密度で植毛してくれるからです。
ただしクリニックによっては著しく定着率が悪いところがあることも事実です。定着率が80%以上であれば問題ありませんが、50%など著しく低いところは避けたほうが無難でしょう。
人工毛植毛に関しては、1年から2年程度で抜けてしまいます。
人工毛植毛は自毛植毛に比べて、圧倒的に寿命が短く、抜け落ちる理由は、自分の毛ではないからというシンプルなものです。
人工毛の素材は「ポリエステル系高分子樹脂」と呼ばれているものです。人工血管に使われている素材と同じものなので、非常に安全性が高いことでも知られています。以前はナイロン、または塩化ビニールが使われていましたが、近年では人工毛植毛も進化しているのです。
人工毛植毛に使われている素材ですが、以前よりも安全性が高くなったとはいえ人体にとっては異物にほかなりません。身体に異物が入ってくると、免疫システムが動き出すのです。
免疫システムは菌やウイルスなど人体に有毒なものが入ってくると攻撃するわけですが、人体にとって異物が入ってきた場合でも作動してしまうのです。人工毛植毛で利用されているポリエステル系高分子樹脂もまさしく異物です。
人工毛は徐々に免疫システムによって攻撃を受けることになります。植毛した部位の皮膚を炎症させるなどして、人工毛を人体から取り除こうとするわけです。結果として数年間ですべての人工毛は抜け落ちてしまいます。
1年間程度で約半分程度の髪の毛が抜けるとされています。ですから一定期間でメンテナンスをしなければなりません。自毛植毛に比べて結果的にコストも増大してしまうのです。
髪の毛の残存量が少なくても利用できる植毛法だからです。
自毛植毛は自分の髪の毛が一定以上無ければ利用できません。限界がある植毛法なのです。人工毛植毛に関しては限界がありません。何本でも植毛できるので、高密度の植毛も出来るわけです。
男性の中には、耳の周辺やつむじの後方まで薄毛の範囲が広がってしまう方もいます。採取できる髪の毛が少なくなるので、結果的に自毛植毛は諦めるしかありません。しかし人工毛植毛は残存本数に左右されないので、誰でも利用できるとのメリットがあるわけです。
自毛植毛で髪の毛を植え付ける場合、ダイレクト法とニードル法があります。
自分の毛を無駄にしない方法になるのがダイレクト法ですが、移植する時に手作業で行われないとの特徴があります。
特殊な器具を使うので頭皮やドナーに与えるダメージが大幅に軽減され、定着率が高いです。
特に値段にこだわるという方におすすめなのがニードル法です。針を使って手術を行ないますが、価格以外にも手術時間の早さといった特徴も見逃せません。
植毛法によってそれぞれ特徴があるわけですが、その中から自分にとって魅力的に感じる植毛法を行っているクリニックを選びましょう。
植毛について知ってもらうために、自毛植毛と人工植毛を詳しく掘り下げてみたいと思います。まずはそれぞれがどういった薄毛のタイプの方に向いているのかまとめてみました。
※現在医療的には「人工毛植毛」はリスクが高いため「行わない方がよい」と警告されています。
それぞれの植毛に向いている方をまとめてみました。どのような効果が欲しいのかによって、考え方もそれぞれあると思います。
薄毛の状態によっても考え方が大きく異なるということも分かってもらえるでしょう。
自分にとって自毛植毛にメリットが多いのか、それとも人工毛植毛にメリットが多いのかをしっかりと判断して検討していただければと思います。
人工毛植毛にはリスクがあるので、個人的には自毛植毛をおすすめします。
植毛手術後にしっかりと髪の毛を伸ばすために注意したいことは以下の2つになります。
自毛植毛の定着率をアップさせるためには、植毛した患部の状態を良くすることです。
また、刺激を与えるなどの負担を与えてしまうと、定着率が下がってしまいます。植毛手術を受けてからしばらくは激しい運動を避けてください。
さらに皮膚の状態も定着率には大きく関わってくるので、紫外線が患部に当たらないように日傘を利用したり締め付けの弱い帽子などをかぶったりして生活することもおすすめです。
植毛した毛の寿命をアップさせるためには、発毛剤の利用が最もおすすめです。一応は男性型脱毛症の影響を受けない毛根を植毛しているわけですが、個人差があることは確かです。
耳の周辺やつむじの後方の髪の毛であったとしても、男性型脱毛症の影響を受けてしまうケースも見受けられます。植毛した毛の寿命を伸ばしたいのであれば発毛剤は利用しましょう。内服薬系のフィナステリドやデュタステリドに関してはジヒドロテストステロン(悪玉男性ホルモン)対策になるのでおすすめです。
塗布系の発毛剤であるミノキシジルに関しても男性型脱毛症対策とはなりますが、植毛直後の利用は避けてください。
ミノキシジルには炎症やフケなどの頭皮環境を悪化させる副作用が数多く報告されているので、植毛してから1ヶ月以上は利用を控えてください。植毛部の状態が安定してから利用すべきです。
発毛剤に関しては短期的な利用では意味がありません。長期的に利用し続けることが重要なのです。発毛剤によって生えている髪の毛は発毛剤でしか維持できません。植毛した毛の寿命を伸ばしたいのであれば発毛剤を使い続けてください。
人工毛植毛の髪の毛を長持ちさせるために重要なポイントは以下の2つになります。
人工毛の定着率に関しては、素材が最も重要です。
前述したように最新のポリエステル系高分子樹脂であれば一定期間は定着してくれます。しかしナイロンや塩化ビニールであると、それほど強い素材でもありません。皮膚にも負担をかけるので、定着率は悪くなってしまうのです。
素材についてはクリニックにもよるので良いクリニックを選ばなければなりません。しかし国内で人工毛クリニックはニドークリニックでのみ行われているので、選択肢はありません。もちろんニドークリニックではポリエステル系高分子樹脂を利用した植毛を実施しています。
人工毛の寿命は1年間から2年間となっていますが、頭皮の状態に大きく左右されます。頭皮ニキビができやすい方は脱毛しやすいので注意してください。頭皮環境を整えることが寿命を伸ばすためにもっとも重要なのです。
さらに人工毛は自毛とは異なり、植毛した時点が最も良い状態です。あとは劣化していくしかありません。紫外線によっても劣化しますし、ドライヤーの熱でも劣化してしまいます。
人工毛に対してなるべく負担をかけないような生活をしていくことが寿命のアップに重要になっているわけです。もちろん皮膚の状態も重要なので、頭皮環境の安定化についても考えていかなければなりません。
自毛植毛と人工毛植毛では、植毛した毛の寿命は全く異なります。1回の施術でより高い効果を得たい、と考えるのであれば自毛植毛を選ぶべきです。
植毛後に掛かるコストにも注目しなければなりません。実は植毛した毛の寿命がコストに与える影響は大きいのです。植毛した毛の寿命が長ければ長いほど、コストはかかりにくいです。短ければ短いほどコストはかかってきます。
自毛植毛であれば、植毛した部位についてはメンテナンスが必要ありません。今後も髪の毛は生え続けます。
人工毛植毛については、1年間から2年間で必ず植毛し直さなければなりません。コストは年々膨らんでいくわけです。
確かに自毛植毛と人工毛植毛であれば、人工毛植毛のほうが安いです。しかし寿命がより長い自毛植毛のほうがトータルコストは抑えられるのでおすすめ、ということになります。
人工毛植毛をした部位であっても、問題なく自毛植毛できる可能性はあります。ただ肌の状態によってなど、自毛植毛ができないケースもあるので注意しなければなりません。
二つの条件をクリアしている場合には自毛植毛が問題なく行えます。人工毛植毛を行ってからの期間も重要であり、直近に受けた場合には頭皮に問題が出ていることも考えられます。人工毛も多く残っているはずなので難しいです。
少なくても手術を受けて、2年から3年ほどたってから自毛植毛手術を受けましょう。
人工毛とはいえ、抜けるのを待つのは嫌な気分ですし、周りの方に薄毛であることが分かってしまうのは大きなマイナスと感じるはずです。そのようなケースは、部分かつらなどを利用して抜けるまで対応しましょう。
近年のかつら技術は向上しており、バレてしまう可能性は著しく低いです。部分かつらも数万円で利用できる時代なので、費用的にもそれほど大きな負担になりません。一時的に増毛サービスを受けて対応するのもおすすめです。
増毛については頭皮に影響を与えるものではないので、自毛植毛に大きな影響は与えません。
頭皮が感染症を起こしている場合は、すぐに自毛植毛を受けることができません。
人工毛植毛は自毛植毛と違って、自分の体の一部ではないものを利用することになります。よって異物を体外に出そうと、拒否反応が起こるのが通常です。皮膚が感染症を引き起こしてしまうこともあります。
感染症を起こす確率は、人工毛植毛を受けた方の10パーセントから20パーセントほどといわれており、かなり高いことが分かります。頭皮に感染症がある場合は自毛植毛をしたとしても、定着率が悪くなる可能性があるので適していません。
感染症が収まるまでには、1カ月から2カ月ほどかかるので、植毛クリニックのドクターに現状を確認してもらいつつ、自毛植毛が行えるか判断してもらいましょう。
人工毛植毛で植えたものがたくさん残っている場合には自毛植毛は適していません。人工毛は必ず抜けるので、抜ける時に自毛植毛したものも一緒に抜けてしまう可能性もあるからです。
対策法としては、「抜けるのを待つ」か「人工毛を抜いてしまう」といった二つの方法があります。自然に人工毛が抜けるのを待つち数年かかる可能性もあります。
人工毛を抜くには抵抗があるかもしれませんが、部位ごとに手術を数回に分けます。右の剃り込み部分・左の剃り込み部分・頭頂部などと細かく分けるので、全体的に一気に抜いてしまうわけではありません。
人工毛がたくさん残っているケースでは、デメリットもあります。抜く場合であっても時間がかかってしまいます。抜くのにかかる期間を、半年から2年間程度と設定しているクリニックも多いので注意しましょう。
スリットからの出血が多くなります。すでに人工毛植毛をしているので、その部位は傷跡ができています。
傷跡は固くなっており、スリット(毛を植えるための切れ込み)を深く強めにいれなければなりません。結果的に、出血量が多くなってしまうといったデメリットがあります。
出血量が多いと言っても、健康に害があるほどは出ないので安心してください。
植毛に時間がかかることも覚えておきましょう。1回の手術で終わらない事も多く、複数回の手術が行われるのが一般的です。
上記したように出血量も多くなるので、慎重に少しずつ植毛することになります。1回の手術時間も5時間や6時間など長時間に及ぶ可能性もあるので、健康状態を整えてから手術に臨むことも必要ですよ。